更新履歴

2021/1/19 メギド72+4 今まで同人誌として出したものを追加
2019/5/28 メギド72+1
2019/1/31 メギド72に1つ追加
2018/8/18 開設

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皇族専用に設えられた飛空艇に乗って、アラギリからドマへ、そしてそこから船に乗りクガネへとたどり着く。時刻はちょうど正午くらいであった。
飛空艇も船もともに快適さを優先した造りで、普段私のような冒険者が利用しているようなものと違ってほとんど揺れがなかった。
帝国の技術もさることながら、本来であれば全く住む世界が異なる人なのだと改めて思い知らされたような気がした。
「ようやく着いたか…さて、宿へ行くにはいささか早いな。友よ、街を案内せよ。」
「いいけれど…その目立つ格好をまずどうにかしてよ。」
そんな物々しい鎧のまま街を歩かれたら目立つどころの話ではない。
「案ずるな。この地に見合う装束はすでに用意してある。」
と言うと兵になにやら運んでこさせる。
見ると、二人分の着物であった。なぜ当たり前のように私のぶんが用意してあるのか疑問に思ったが口には出さないことにする。
「じゃ、着替えてくるから。」
そう言って自分の分を受け取り部屋を出ようとすると、不意に大きな手に肩を捕まれ引き戻される。
「何するの。」
「着替えさせよ。」
…人に傅かれることに慣れきった王族の、有無を言わさぬ命令だった。抗議の目線を送るが、涼やかに返される。
はぁ、と深いため息をつき彼の鎧を外しにかかる。
どうにかこうにかこうにか鎧を外しインナーも脱がすと、白い肌に無駄の一切ない筋肉が露わになる。
思わず作業の手を止めて見惚れていると、どうしたと頭上から声がかかる。
はっと我に返り、動揺を隠すため何でもないとぶっきらぼうに返事をする。何か言われるかと思ったが、そうかというそっけない返事が返ってきただけだった。

二人共着替えを終え、外に出る。私の着物は薄桃色で、ゼノスのは彼の瞳と同じ薄青であった。
さて、まずはどこに連れて行ったものかとしばし思案する。花街は論外だし、小金通りのような人通りの多いところも避けたほうが良いだろう。
なにせ彼は鎧を着ていなくともその体躯と、纏った貴人の雰囲気のせいで目立つ。
唸っていると、ぐぅ〜と間抜けな音をたてて腹の虫が鳴いた。隣からくつくつと喉を鳴らして笑う声が聞こえる。顔が紅潮するのが自分でも感じられた。
「まずは茶屋に行こう!茶屋に!」
恥ずかしさを隠すように半ば叫びながら、彼の袖を引っ張り目的地の方へと歩き出す。
ウミネコ茶屋に着き、二人分の団子とお茶を注文する。
「それで、宿に行ったあとはどうするの。」
あんこのたっぷり掛かった団子に舌鼓を打ちながら、そう問いかける。
「お前のその傷が完全に癒えるまで、留まってもらう。なに、案ずるな。手負いのお前をいたぶっても愉しくないのでな。害するようなことはせぬよ。先に言っておくが、逃げようなどとは考えぬことだな。」
射るような視線に、思わず身がすくむ。
「わかったよ。当分は大人しくしてるから、物騒なことはやめてね。」
そんなやり取りをしていると、いい時間になってきたので望海楼へと向かう事にした。
つづく
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