更新履歴

2021/1/19 メギド72+4 今まで同人誌として出したものを追加
2019/5/28 メギド72+1
2019/1/31 メギド72に1つ追加
2018/8/18 開設

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望海楼に到着すると、店の者たちが揃って出迎えに出てきた。気前よく貸し切りなどする上客に対しては挨拶まで違うらしい。
驚きつつ、店の主人に部屋まで案内してもらう。
おそらく一番上等と思われる一室の前に案内されると、夕餉の準備がありますのでと言って主人は引っ込んでいった。
待て、何かがおかしい。貸し切りのはずなのに案内された部屋が一つとは。
「あの、もしかして部屋一緒なの…?」
「別々にして、お前が逃げ出さぬとも限らぬのでな。それとも他に何か問題があるか?」
「問題がないわけないでしょ!?敵同士とは言え仮にも、その…異性なんだし……とにかく一緒の部屋で寝るのはまずいって!色々と!」
そう反駁すると不意に彼がこちらに寄って、私の顎をくい、と上に向けた。吐息が感じられるほど顔が近づけられる。
「俺はお前とならば"色々と"あっても構わないがな。というより…むしろ望むところだが。」
……一瞬の空白の後、やっと頭が何を言われているのか理解した。混乱のあまり思わず彼を突き飛ばし、逃げるようにして部屋に転がり込む。
外から愉快そうに笑う声が聞こえる。きっと冗談だ。からかわれているだけなのだ。そうに違いない。そう自分に言い聞かせて気を落ち着かせる。
そうこうしているうちに、いつのまにか夕飯の時間になったらしく、食事が運ばれてきた。

豪勢な料理を堪能し終えると、いよいよ温泉に入るときが来た。
正直不安だ。望海楼の湯は混浴だし、貸し切りということは二人きりだし。
手出しはしない、と言っていたが戦闘的な意味だけでなく別の意味も含まれているのか謎だし(おそらく別の意味では手出しするつもりだろう)。
そもそもこの皇子様は、普段従者に湯浴みも面倒を見させているのではないか?一人で大丈夫なのか?
面倒を見なければならないのでは?などなど、不安なことを考え出すときりがない。
今頃になって帰りたいなぁという気持ちがふつふつと沸いてくるが、もう手遅れだ。
腹をくくって浴場にむかう。

ここの湯は混浴だ。あらかじめ知っていたので私はちゃんと耐熱装備を用意してきていた。
着替えを終えると、湯気立ち昇る温泉へと足を踏み入れる。
「あ"〜」
湯に浸かった瞬間、なんだか気が抜けてしまい普段人前では出さないような声が出た。まぁいいか。気にする人もいないことだし。
ふと、彼の姿が湯けむり越しにシルエットとして浮かび上がる。均整のとれた、違うとこのないシンメトリの完璧な肉体であるということが影だけからでも読み取れる。
(顔も育ちも良いし、お金持ちだし、あれで性格がもうちょっとまともならなぁ…)
などと、とくに意味のない感想がぼんやり浮かんでくる。
彼がこちらに近づいてくるに連れ、影がよりはっきりと形を持った。
私は気付いた…いや、気付いてしまった。
彼が耐熱装備や水着などを一切身につけていないことに。

次回、どうなる光ちゃん!?クガネ貸し切り温泉、湯けむりに覆い隠された事件の真相とは

夜那先生の次回作にご期待ください。

気が向いたら書くと思います 一応完結です
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