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2021/1/19 メギド72+4 今まで同人誌として出したものを追加
2019/5/28 メギド72+1
2019/1/31 メギド72に1つ追加
2018/8/18 開設

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糖度高めだったりするかもしれませんからね。
全部捏造妄想かもしれませんからね。







「よく眠れないのか」
その唐突な質問に私はギョッとしたが、まぁ最近の私の様子からすれば意外なものでも無かった。
いや、彼の口から他人を心配するような言葉が出たという意味であるのなら意外なものであったが。
兎に角、目の前にいる男…ゼノス・イェー・ガルヴァス、は私にそのような質問を投げかけてきた。
彼と私がなぜ共にいるのかという疑問についての回答は割愛させていただきたい。なにしろ話すと長くなる。
「あぁ。確かに寝不足だけれど。それが何か」
彼の指摘どおり、このところの私は寝不足気味であった。
クマ、肌荒れ、その他睡眠の不足によって引き起こされる外見の変化は化粧でなるべく目立たせないようにしていたが、
他者から言及されるという事は、その応急処置も効果の限界というところまで来ているという事だろう。
「相当参っている様子だったのでな。お前の心をそれほどまでに悩ますものは、一体何であろうかと考えずにはいられなかったのだ」
彼の口ぶりは、まるで原因が人間であるなら斬って殺してでも取り除くといった風だった。
しかし、彼の手を煩わせるようなことにはならないだろう。
私を眠りから遠ざけるものは生者ではなく、死者なのだから。

「悪夢を見るんだ。過去の亡霊たち、私がエオルゼアのためと今まで踏みにじってきた者たちが私を責めるんだ。
例えば、あなたの身近なところならカストルムの帝国兵たち。顔も名前も知らないまま、机の上の埃を払うのと同じように私が殺してきた彼ら。
彼らにも護るべき国や家族があった。いくら敵といえど、エオルゼアに住む人たちと何ら変わらない。
そういう人たちが、私を引き摺り込もうとするんだ。
私はその手から逃げようとして必死に否定するんだ。
私じゃない、私の意思でやったんじゃない、頼まれたからやったんだって。
でもそうすると、頼まれればなんでもするのか、英雄なんて名ばかりの淫売だとか殺人鬼とか罵ってくる。
そうしてもう堪らなくなって、やめてくれって目を瞑って耳を塞ぐ。
そこでいつも目が覚める」

一気に説明を終えたところで一息をつく。
「どう。あなたからしてみれば、とてもつまらない理由なんじゃない?」
「ああ、くだらぬ。実にくだらぬ。
よもやそのようなつまらぬ事で頭を悩ませていようとは。
そのような有象無象のことなどお前の気にするところではない。
お前はただ目の前の敵…俺だけを見据えていれば良い。
いくら人並みに悩んで取り繕ったところで、結局お前の闘いを求める獣の本性は変わりはしないのだからな」
「はぁ。あんたなんかに話してみようかなって思った私が馬鹿だったよ」
口ではそう悪態をつきつつ、私はどこか安堵して目の前の彼を眺めるのだった。
今夜からはよく眠れそうだ。
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