更新履歴

2021/1/19 メギド72+4 今まで同人誌として出したものを追加
2019/5/28 メギド72+1
2019/1/31 メギド72に1つ追加
2018/8/18 開設

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王都エルプシャフト・有名菓子店にて私は、緩くウェーブのかかった金糸の髪を午後の柔らかな日差しに輝かせながらその日最後の一つであった限定絶品スイーツを至極美味しそうに頬張る彼女…シトリーを眺めていた。
彼女と出会ったのはいつだったろう?確か少し前に話題になった珍しいスパイス入りのカレーを食べた帰りだったと思う――

昼食を済ませて、街を散策していると
「ねぇ…貴女」とふいに呼び止められ振り返ると、声の主であると思しき女性が視界に入る。
綺麗な人だな…という感想が浮かび切るより早く、彼女に腕を掴まれ壁際に追い詰められて「いい匂いがするわね…」
と首筋に顔をうずめられていた。
「あ、あの…」
やっとのことで、それだけ言葉を絞り出す。
「待って。答えを言わないで。何の匂いか当ててみせるわ」
言われるがまま、私は黙ってしまう。というより、身動きがとれないのでそうするしかなかった。
「ん…これは……カレーね!それも私が探し求めている店の!間違いないわ!貴女、もし良かったら案内してくれるかしら?この辺り、道がわかりにくくて困っていたの」
「は、はぁ…いいですよ…?」

――概ねこのような馴れ初めだったと思う。彼女の勢いに押されて思わず承諾してしまい店まで案内したあとも、お互い食べ歩きが趣味ということで何度か違う店で会う事があった。
今、彼女を眺めているこの店も、そういった数ある偶然の一つだ。
「さっきからじっと見ているけれど、貴女も欲しいのかしら?でもダメよ。これは私の」
その言葉に我に返ると、次の瞬間微かなカスタードクリームの味と共に柔らかな感触を唇に感じた。
「悪いけど、これで我慢してちょうだい」
そう言ってふっ、と微笑むシトリーの表情に、私の心はスイーツよりも甘く満たされるのだった。
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